2010/07/07
須坂に曳家あり!
昨日、箱清水の堀建築設計事務所の堀幸一さんのお誘いで、須坂にある円了寺というお寺の曳家(ひきや)工事を見学してきました。
曳家とは、建物全体を壊さず丸ごと移動してしまう古くからある工事の名称で、
現在ではあまりお目にかかることが少ない工事なので間近に見学できるチャンスは貴重です。
須坂の金田工業所の曳家職人の息の合った作業でコロを送りながら、親方一人の力でゆっくりと大きな本堂が動いていきます。
職人の技術はとても高いのは言うまでもありませんが、原理としてわかりやすい工事なので見ていて楽しい。
昔はこの曳家が老若男女が見守る地域の一大行事であったに違いない。
それに比べて最近の建築工事は、素人目には何の作業をしているのかわからない工事が多いのではないだろうか。
わからない事が多いと出来上がったものに愛着が持てず、数十年で建て替えようと思ってしまうのも無理はないような気がする。
聞くところによると円了寺の本堂は建立から既に約250年の歳月が経っているそうだ。
「どのようにつくるか」ということとも大事だけど、そのつくった頃の記憶が薄れてきたら「どのように残すか」という点で”曳家”という保存方法は、人の気持と建物を超長期に渡って繋ぎとめるしくみのひとつなのだと思った。