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2007/12/02

サスティナブル


瓦の歴史は4000年とも5000年とも言われている。建築を構成する生産部材としてこれ程までに長い歴史をもつものは無い。生産はその土地の土を使い、比較的簡単な技術と生産施設でまかなうことができる。主用途は屋根葺き材であるが、床に敷いても壁材として使用しても力強くそれでいて落ち着いた温もりをもつ表現となる。古瓦は造園の素材としても活用され、いつまでも捨て去られることはない。
そう、瓦がこれほどまでに長い歴史をもつ建材となりえたのは、瓦という物理的建材性能が優れていたという理由よりも、むしろ単純でサスティナブルな建築生産システムの発明が最大の要因だったのだと思う。
最近は、瓦の需要が極端に減っているようだ。相次ぐ大きな地震を経験して重量の大きい瓦屋根を避ける傾向にあるからだ。
でも、ぼくたちはもう一度よく考えなければいけない。
地場の瓦を使用することが持続可能な社会を構成する一部であったことを。近視眼的に耐震性能を高めることばかり気になって、大事なものを建築から切り離しているのではないかということを。
そうした意味において瓦は特異な建材だけれども、建築が人や社会から乖離した単なる「高性能な箱」とならないためにも、その存在を改めて検証し活用していくべきだと思う。

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