2007/11/03
水切りに思うこと
約100年前に建てられた古い建物の窓下の水切り。
古美(ふるび)た感じがとても良い味をだしている水切りのデザインだが、現代住宅の窓下水切り端部の処理としてはNGかな。
気密性や断熱性を確保するためにアルミサッシを使用する現代住宅には、窓下に汚れが発生している事例を多く見かける。大気中の汚染物質が窓際のシーリング材に付着し、雨水によって窓の水切り端部から流れて下部の壁面を汚す。シーリングを多用するサッシの採用はこの汚れが発生しやすい。
だから、近年の水切りは端部を折り上げたり、耳をつけて立ち上がりをつくって水が壁面を汚さないような処置をする。
100年前の建物に比べたら、現代住宅は桁違いの気密性能や断熱性能を備えるものとなった。快適な環境性能を維持するためには、最近のサッシ水切りのように、その性能を確保する新たな部材を付加したり、形状を変えたりする必要がでてくる。さらにその部材の性能を確保するために・・・議論は限りなく続く。
この水切りは、そんな難しい議論と遠くかけ離れたところから「考え過ぎだよ」と笑っているかのようだ。建築がもっとおおらかで、楽しいものであった時代のディテールは見ていても心地よい。