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2015/01/02

唐破風というデザイン


「てり」とは「照り」で反りのことを表し、「むくり」は「起くり」で緩やかな起き上がりのことをいう。
どちらも建築用語では屋根の形を言い表す言葉です。
中国大陸の歴史的建造物や伝統的な住居の屋根のほとんどが「てり屋根」です。
さて、この「てり」と「むくり」凹曲と凸曲、基本的に相反する性質が融合した形の屋根が日本で発明されました。
それが「唐破風」です。
この見るからにめんどくさい屋根だけど、
いわゆる和漢折衷ともいえる日本人の造形感覚から生まれた「唐破風」は、
近代においてもなお日本全国に現れた擬洋風建築に和の要素として使われ続けたのだと思う。
今では、居酒屋の玄関庇に飾りとして取り付けられたりする唐破風だけど、
「てり」と「むくり」の融合という視点から眺めると唐破風も違った見え方がしてきます。
唐破風は、シルクロード終着点に相応しい、様々な文化の融合が試みられた日本独自の、
日本が発明した世界に誇れるクールなデザインなのです。
写真は初詣で出かけた善光寺で撮った唐破風。
緩い勾配の善光寺の唐破風は、きれいで好きです。
こんなかっこいいデザインで溢れている善光寺や門前で仕事ができることに、今年も感謝です。

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