BLOG

2013/10/25

食から考える住まいとは。


昭和の洋食 平成のカフェ飯 阿古真理 著
先日、ある雑誌の取材で、自分がどんな子供時代を過ごしてきたのか話す機会があったのですが、自分の中で鮮明に記憶に残っているエピソードのほとんどが祖父や祖母との体験でした。
なかでも「食」にまつわる思い出は強く心に残るものです。
それは単に”味”の記憶ということではなく、食にまつわる”暮らし”のワンシーンであることが多いような気がします。
山菜採りやキノコ採り、イナゴ捕りにも行きました。
山に行かずとも、近所の土手に生えている草でさえも、祖母は食べられるものと食べられないもの、そしてそれをどう調理するのかということについて何でも知っていましたし、家族の行事は”食”に直結するものばかりでした。
現在の自分や自分の家族の”食”に関して思いを巡らしてみると、ほんの20~30年の間でずいぶん変わったものだとつくづく思います。
そんなこともあって、購入した『昭和の洋食 平成のカフェ飯』という本。
本書は、昭和~平成まで約80年にわたる家庭料理の変化を、『主婦の友』、『きょうの料理』、『オレンジページ』など、時代を代表する料理のメディアで紹介されてきた食をとおして解説しています。
また、向田邦子の『寺内貫太郎一家』、連続テレビドラマの『おひさま』、槇村さとるの少女マンガ『イマジン』、角田光代の『八日目の蝉』、久住昌之原作の『花のズボラ飯』といった人気フィクションの中に登場する食卓シーンの分析も面白い。
自分の子供時代における食にまつわる体験は、どれも家族という単位が基本でしたが、今はどうなんだろう。
建築設計という仕事柄、食に関しても高度に分業化された現代だからこそ、生活の基本となる”食”から住まいを考えてみることは、とても大事なことかもしれません。

FOLLOW US