2010/05/10
make your work!
先日、D&DEPARTMENT PROJECT NAGANO by COTOで出会った本です。
最近、ますます「仕事とは何か」ということを考えることが多かったので、
興味深く読ませていただきました。
本書は次のような、まえがきではじまります。
たとえば安売り家具屋の店頭に並ぶ、カラーボックスのような本棚。化粧版の仕上げは側面まで、
裏面はベニヤ貼りの彼らは、「裏は見えないからいいでしょ?」というメッセージを、語るとも
なく語っている。建売住宅の扉は、開け閉めのたびに薄い音を立てながら。それをつくった人た
ちの「こんなもんでいいでしょ?」という腹のうちを伝える。(中略)
人間は「あなたは大切な存在で、生きている価値がある」というメッセージを、つねに探し求め
ている生き物だと思う。(中略)「こんなものでいい」と思いながらつくられたものは、それを
手にする人の存在を否定する。(中略)この世界は一人一人の小さな「仕事」の累積なのだから、
世界が変わる方法はどこか余所にではなく、じつは一人一人の手元にある。多くの人が「自分」
を疎外して働いた結果、それを手にした人をも疎外する社会が出来上がるわけだが、同じ構造で
逆の成果を生み出すこともできる。
建築という ものづくりに携わる者として、今の社会を嘆く前に、
自分の仕事は世界を変えるひとつの要因と成り得ているか。
そう考えさせられる本でした。