2008/04/30
バージボード
屋根の妻側で、桁や母屋の小口を隠して風雨から軒先を守る為に付ける板を破風(はふ)板といい、その中でも意匠的に飾りが施された破風板をバージボードという。
写真は明治村にある大明寺聖パウロ教会堂の破風板(ギザギザの板)であるが、宗教施設に限らず明治・大正・昭和初期の建物にはこのバージボードが施されている場合が多い。その頃の建物に出会うとき、意識してこのバージボードを眺めてみると実に多様な形があって面白い。しかも、建築全体のフォルムに比して小さい部材で控え目なデザインにも関わらず、いつもバージボードが建物の記憶として脳裏に刷り込まれる。どうしてこんな形をしているのか?どんな意味があるのか?と考えてしまう。でも、その形に意味がなくてもよいのだ。見た者に疑問符を投げかけることができるバージボードという部分が愛おしいのである。
芸術的、技術的に手の込んだものでなくても単純な形に板を切り抜き、ひたすら連続して張り付けたこの部分には、建物をここにしかない特有のものにしたいという建設に携わった人々の建物に対する愛情すら伺える。バージボードがキッカケで、当時の人々の“想い”に思いを馳せることができることは素晴らしい。それが、歴史認識として正しいか間違っているかはあまり問題ではなく、昔何があったのか“想像”させることが大事だと思う。それが、建築と人とをつなぐ第一歩であるし、こうした部分がたくさんある建築は人々に愛されるのではないだろうか。