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2008/12/02

アジアンレリーフ


シーンデザイン事務所の玄関には、以前関わった店舗改装設計の際に不用品として頂いたレリーフが飾られている。
厚さ約25ミリのチーク材を透かし彫りして、植物や花をモチーフにした緻密な模様のレリーフである。最近はアジアンテイストな店舗でもよく見かける。輸入雑貨店やネットでも手に入るこうしたレリーフを壁に掛け観葉植物でも添えれば、どんなに無機質な空間もたちまちリゾートっぽい雰囲気を醸し出すことができる。
建築が既定する床、壁、天井の面積に比して明らかに小さなレリーフは空間の質を変えてしまうほどの圧倒的な力を持っている。つまりその力は物量に比例するものではないのである。では何に由来するのか。
僕たちは見るからに大変な数の人の手が加えられていそうなものや長い時間を費やしてつくられたものであることが明らかなものを無批判に評価してしまう。同時にそのレリーフにまつわる由来や歴史、ゆったりとした時間の流れを勝手に想像し、感じ取ってしまっているからだとも思う。
建築は工芸品ではないし、同じようなコストを掛けるわけにもいかないけれど、工業製品でもないはずだから、きれいにまとめ過ぎず、もっと人の手が加えられた痕跡をわかりやすく残すことが豊かな空間をつくりだす秘訣じゃないだろうか。

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