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2008/10/01

でしゃばりすぎないこと


雨が似合う建築は魅力的だ。特に日本には雨が似合う建築が多いと思う。
たとえば京都の古い町並みなどは雨がよく似合うと誰しも思うだろう。
宿場町や城下町、寺社建築など雨の似合う建築といって思い浮かぶのは、なぜ古い建物や街並みなのか。雨が似合う建築には、そこはかとなく漂う上品で優しい色気のようなものがある。それがとても日本的で美しいと思うのである。
“雨やどり”という言葉があるが、この言葉からは容易に深い軒の出が連想できる。さだまさしの歌ではないが“雨やどり”という行為が人の想いや行動、はたまた人生の岐路に結びついていくことだってあるかもしれない。“雨やどり”がし易い雰囲気も重要だが、“雨やどり”ができるという屋根の存在が建築と人とを結び付けた様々なシーンを連想させる。
逆に、常に悪天候から人を守るために歩道を全てアーケードで覆ってしまったとする。そうすれば雨に濡れることもないが、同時に“雨やどり”という行為もなくなってしまう。雨に濡れない為には合理的であるかもしれないが、ちょっと寂しい。
そう考えると、雨が似合う建築は、人の営みの背景に溶け込みながら出しゃばり過ぎない優しさをもっていると思う。

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