2008/02/03
石積み
建築設計図面で、その意匠性を最も表現しにくいのは石積みではないだろうか。
近年のコンクリート二次製品の間知ブロック等とは違い、積む人によって雰囲気が大きく変わってしまう。それが難しくもあり魅力でもある。
石積みといえば城石垣を思い浮かべがちだが、もっと身近なところに石積みはたくさんある。近所の田舎道を車で走っていても、車窓から美しい石垣畦などをよく目にする。石を一つ一つ丹念に積んでいく作業を想像すると、途方もなく時間が掛かっているのだろうと思わせるものも少なくない。そこには、崩れないことこそが上手くて優れているのであって、決して見てくれや技法の誇示がない。それでいて、自然石が相手だから、積む人の意志次第で無限の可能性があり、その人らしさを表現してしまうのだと思う。
建築が工業製品の組み合わせで出来てしまうような時代に、石積みはつくり手の気持ちが伝わってくる数少ないもののひとつとして、建物にもっと取り入れていけたらと思う。