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2020/08/30

造作

できれば、廻り縁や巾木は、しっかり、大きめに計画した方がいいと思っていますが、最近の住宅では一つの空間がとても小さくなってきているので、この廻り縁や巾木があることで、小さい部屋が更にせせこましい空間に見えてしまいます。
そこで、最近よく採用しているのが塩ビの目透かし廻り縁。クロスも一緒に巻き込んでしまうので、すっきりした印象です。
さて、この造作材を消していく(目立たなくしていく)デザインは、最近では本当によく見かけます。特に雑誌で紹介されている建築のほとんどは、巾木も廻り縁も窓枠さえも見えないものがあります。そして確かに洗練されたデザインに見えます。
ただ、少し物足りなさを感じてもいます。
実は、この造作のデザインこそが、その建築の個性を確固たるものにする大事な要素であるからで、サイズだけでなく、面の取り方、形状においても、印象が大きく変わります。
そういう意味で、最近流行りのデザインは、個性を消すことに躍起になっているようで、興味深い。若しくは、そんなこと気にしていられないくらい、建築は小さく安く、考える時間も与えられない程、追い詰められているということかもしれない。
そんなことを考えながらも、自分も造作を消していく図面を書いているのだから、抗えない時代の流れということにしよう。

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