一軒から考える街並み

アプローチの変更後（上）と変更前（下）

既存の住宅のアプローチのみをデザインしてほしいという珍しい依頼。

住宅において、道路から玄関に至るアプローチは、その家に住む家族はもちろん、その家を訪れる人も必ず通る場所です。それは敷地内で“うち”と“そと”の人が空間体験を共有できる唯一の場所でもあります。

現代の住宅においては、建物の表層（外観）にばかりに意識が向いてしまって、アプローチについては二の次ということはよくあることですが、このアプローチこそ、もっと考えなければならない場所かもしれません。アプローチを変えるだけでも家の印象はガラリとかわり、より建物と周辺環境とを関係付けながら、“うち”の人は“そと”を、“そと”の人は“うち”をもっと意識するようになるのではないでしょうか。

街並みを変えていくのは、大きな開発や規制ではなく、アプローチを大事にする一軒からかもしれません。