そこにしかない個性

鉄筋コンクリート造のマンションリノベと比べて、はるかに難易度が高い木造リノベ。

加えて建物のロケーションに問題があるものも少なくありません。

写真は、南北に長い建物で、ほぼ東側にしか窓がない住宅のリノベーションの様子。リノベですから、建物配置を変えるわけにはいきません。現状の悪条件や制約を、一旦受け入れたところからスタートします。

建物のダメなところを隠したり、完璧に直すのではなくて、ダメなところおかしなところ、変わっているところを長所として伸ばしてあげる。木造リノベはそんな作業でもあります。結果、新たに窓をつくる事はせず、リノベ前の窓の位置や大きさは全く変えませんでした。それがかえって、日中の日の光の傾きによって刻々と表情を変える、陰影が印象的な魅力ある住空間を生む事につながりました。

どんな建物もつぶさに観察すれば、その建物の個性が見えてきます。
そこにしかない個性を魅力に変えることは、難しいですが楽しい作業です。