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2019/08/30

対話のレッスン

先日、サントミューゼで開催された劇作家大会で興味を持って手にした本。

「会話」とは、お互いの事情をよく知った者同士の気軽で気楽なお喋り。
「対話」とは、お互いの事をあまりよく知らない者同士が、「知らない」ということを前提として行う意識的なコミュニケーション。
日本社会はもともと対話という習慣を持たない単層的な社会だったが、重層的な社会に変革を成し遂げられるかどうかは、「対話」というスキルの獲得にかかっているという。

なるほど、建築の仕事の中で、建築の専門的な話を、建築の素人であるクライアントと重ねながらデザインしていく作業や、基本、現場毎に違う多くの施工業者に設計の意図を伝えて、デザインを具現化していく作業などは、「対話」だなぁと思う。
著者の平田オリザさんは劇作家ですが、劇作家が脚本を書いて役者と共に芝居をつくっていく作業は、建築家が図面を書いて施工者と共に建物をつくっていく作業に似ている。

現場で起こるトラブルの7,8割は、関係者の「対話」が欠如していた部分で起こると言ってもよい。建築現場で必要なのは、対話のレッスンなのかもしれない。

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