2022/09/30
本は建築
建築雑誌8月号の特集テーマは「本は建築」
本“と”建築ではなくて、本“は”建築 です。
本と空間が融合した状態をどのようにデザインしていくか、本と建築の相互作用によって、今後どんな可能性が生まれるかといったテーマの具体事例や考察記事は、興味深く面白い。
記事内容は紙の書物との関係についてまとめているが、自分は、そもそも建築はそれ自体が書物であるとも思っている。
古い建物を調査すれば、その建物に刻まれた歴史や時代背景、設計者や利用者がどんな思いで建物に向き合ってきたかなどが読み解ける。
だから、建築はひとつの記録媒体だと言える。
古代ギリシャでは、記憶術として実際の建築の中に記憶を配置するという方法で、膨大な記憶を成し得ていたというし、ノートルダム寺院のように、建築の装飾が錬金術の秘密を記した石の書物であるという説もある。
近代建築があまり意識していない建築の重要な機能として、“データの保存” があるのだと思う。
きっと、このデータ保存機能を建築に持たせるという視点で建築を考えることが、今後一層大事になってくるのではないかなと考えています。